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いわき簡易裁判所 昭和58年(い)1005号 決定

主文

被告人に対し昭和五八年一〇月三一日発した略式命令はこれを取り消す。

本件公訴を棄却する。

理由

本件につき、いわき区検察庁検察官から当裁判所に対し昭和五八年一〇月一九日公訴が提起され略式命令の請求があり、同年一〇月三一日略式命令がなされたものであるが、起訴状記載の住居地の被告人に対し昭和五八年一一月五日右略式命令謄本の送達をしたところ、所轄郵便局である小名浜郵便局から同年一一月一九日送達不能(配達時受取人不在、保管期間経過)で返戻されたので同年一一月二一日検察官にその旨通知したこと、同年一一月二四日検察官から右住居地に再度送達してもらいたい旨の通知を受け、右住居地の被告人に対し同年一一月二五日再度右略式命令謄本の送達をしたところ、同年一二月八日前記同様の理由による送達不能で再度右郵便局から返戻されたので同年一二月九日検察官に再度その旨通知したこと、昭和五九年二月一七日検察官から右住居地にみたび送達してもらいたい旨の通知を受け、右住居地の被告人に対し同日右略式命令謄本の送達をしたところ、同年三月一日右郵便局窓口で被告人に送達されたことが記録上認められる。

そうすると、右略式命令の請求があった日から四か月内である昭和五九年二月一八日までに被告人に対し右略式命令の告知がなされなかったので、公訴の提起はさかのぼってその効力を失ったものというべきであるから、刑事訴訟法第四六三条の二第一項第二項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 中野重雄)

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